カッツェにしてもいいですか

お酒を飲んでサブカルチャーに触れたり北方謙三に抱かれたりするブログです。

銀々ぶらぶら

魔界都市

出掛けました。
出掛けるには腹ごしらえをせねばならず、チョイパク(チョイとジャン・レノやジローラモをパクった様子)程度で済ませようと、普段は避けているマックに寄って100円バーガー。よりにもよっていつのまにやらセットではなく、バーガーとポテトのコンビなんて始めてたのね。ドリンクなんてはずしたら益々赤字増えちゃうじゃない。まあこっちはあの薄めたコーラやウーロン茶味の水なんて飲みたくはないのでもちろんコンビを注文。
駅でチョイパク(ちょ、ちょっとパクロミすげえってマジヤバイ!な様子)してたら何このポテトらしきもの。大変極上の冷製に仕上がっており、どっちの料理ショーでマックポテトVSポテトチップだったら迷わずモスバーガー選ぶ気分にさせられる、とてもじゃないけど夢見る聖人君子じゃいられない、冷静と情熱のその間にあるイカルス星人のあの境地の次元へ行きかけて、っていうかなんだこれチームマイナス6%に仕立てあがるつもりで熱出さないつもり?それとも母のぬくもり?いやぬくもってもいなかったけど、それがオレに対する優しさ、なのか?地球に優しいポテト?優しいポテトってなんだよ、あれか、コルホーズで作られたブサイクな不揃いなあいつらか。不揃いだから個性的だとでも思ったら大間違いですよ太一、聞いてんのかおい、お前だよ、そのハチクロでまばゆいばかりにトキめいてるような苗字のあなたですよ!

っていうことでも後で書こうかなあとエレエレして時間と人生を潰している間に電車がきたので勢い余って飛び込む気持ちグッとこらえて(だって男の子だから)その三つ編みをギュッと握り締めて(だって心はオトメだから)普通に乗って向かいました。どこへって?何度も言ったろう?話聞いてろよ、って言ってなかったっけ?ごめんごめんおじさん悪かった。おじさんの容姿や将来性が悪かった。謝ってもすまないよな。謝ってすむなら王蟲も赤い目しねえって姫姉様言ってた。須美声で言ってた。

「Passion and Action−生の芸術 アール・ブリュット」展です。
公式よりも見やすいのでこれでものっけておきます。
http://www.enjoytokyo.jp/OD004Detail.html?EVENT_ID=22008

知人の日記で知った時にはもう会期が終わりかけだったので、今日急いで。

上記URLに

作品の多くは、精神病患者や幻視者などにより制作されたものです。19世紀末ヨーロッパの精神科医たちが、最初にこの芸術に着目しました。精神病患者が自発的に描くものや、作るものに医学的興味を抱いたのがはじまりで、20世紀初頭にはより深い美的関心を抱いた医師達が、作品の収集と本格的研究を行うようになりました。

と載っているからにはそういうものばかりだろうと思ったのですが、確かにそういうものも多かったのですが、自分の期待していたようなものばかりとはいかないもので、多分それは作品収集をしている人自身はそういう人じゃないからだと思ったのですが、とはいえ期待していたようなものもあったのも事実で、そいつぁ確かにもうソレですよとしか言えないものでした。

中でもクルーンを超える剛腕ぶりを発揮していたのはヘンリー・ダーガーさんですね。
チラシに有った略歴を引用します。

ヘンリー・ダーガー(1892-1973,アメリカ)
4歳になる直前に母親と死別。8歳で孤児院に預けられた後、知的障害児の施設に送られるが、脱出。シカゴの病院で清掃人として働きながら、小説の執筆を始める。7人の美少女姉妹ヴィヴィアン・ガールズが、残虐非道な男達を相手に壮絶なバトルを繰り広げる物語は『非現実の王国で』と題され、15,000ページを超え、数百枚もの挿絵が添えられていた。これらはすべてダーガーの孤独な死後、大家夫妻によって発見された。

だそうです。だそうなんですが…どうも展示されていた挿絵を見る限り、少女達は男達から逃げ惑い、一人は首絞められてたり、肝心なヴィヴィアン・ガールズもどうも南北戦争時代の特攻野郎達のやらかした戦火から逃げまどっているようにしか見えず…いや今少女達と言ってしまったけど、ウソをつきました。なんか、チ○ポ生えてました。あれは決して差料じゃあないと思うんだ。

俄然この『非現実の王国で』が欲しくなったのですけど、需要と供給のバランスっつうんすか?見えざる手っつうんすか?そういうものが大変上手く作用した結果、お値段しめて6,825円と大変手頃なお値打ち価格となっており、おじさん手をだせません。おれの手をみせられません。あ、今うまい事言った?そういうつもりになった?

出版している作品社(直球な名前だな)のページ
http://www.tssplaza.co.jp/~visual/k/darger/darger%20top.html

ヘンリー・ダーガー 非現実の王国で

ヘンリー・ダーガー 非現実の王国で

この方が生きている間に美少女戦士セーラームーンを見せてあげたかったなあと思いました。だってセーラームーンはみんなのママだから。



あとその他の作品で自分が感じたのは、切迫した視線と強迫的に過ぎる作業の蓄積の二点でしょうか。

自分は多分に視線恐怖症のきらいがあり、こちらを見ている絵が非常に恐かったです。人物を描いたとして、身体はその態を成さないくらい分裂していても、目だけはこちらを見てるんですよ。こ、こわっ!

二つ目の強迫的に過ぎる作業の蓄積ですけど、ほら、小中学生の頃って、授業中とかにノートの端に意味のない模様描き始めて、それが止まらなくなる時ってあったじゃないですか。ないですか?え?マジでない?オレだけ?いやあったってことにしてくださいよ。あったってことで話進めますよ。

で、そういうことやってても、その授業が終われば止めるわけですよ。でも、それが延々LOOPバージョンみたいのが結構ありました。止めないけど病めるみたいな。あ、またうまいこと言った?言ったつもりになった?

ともかく無料とは思えないほどは堪能しました。


ただ、ひとつワナがあって、2階で平置きに画面が表示されたりしてたわけですよ。で、もちろん観るわけですよ。そしたら下に「引き出しを引いてみてください」とか書かれてるわけですよ。引きますよね?そしたらやけに洗練された絵が出てきて、うわー、綺麗やなあ女性画ですか、と舌鼓を打ち堪能しておったらそれなんのことはない資生堂の広告じゃないですか。常時展示ってやつで、あやうくノリツッコミさせられるところでした。つかノリまでしてツッコみまでいかずにすごすご引き出しを戻す、なんともバツの悪い始末に陥ってしまい、その瞬間から、ここに至るまでの、銀座に降りてまず20分道に迷いその間セレブな待ち往く人々やグッチの店などにヤラレて疲労困憊していたことを思い出しうなだれたのであった。


結論:
銀座はニットにジャージじゃいられない


追記:
あーなるほど。病気の一環か、狂気の一環か、なんかそういう境界線って難しいな。で、統合失調症患者が描く絵としてはこういうのが多いらしいです。

ルイ・ステーの絵
http://psychodoc.eek.jp/abare/200310c.html#29_t3


去年衝撃を受けたもの

ルイス・ウェインの猫
http://psychodoc.eek.jp/abare/200310c.html#27_t2

アルツハイマー病にかかった画家の絵
http://blog3.fc2.com/netag/blog-entry-41.html


画家がその後病気になるか、病気の人がその後素養もなく描くかで変わってきますよね。

で、今日の展示会で思ったのは、芸術かそうでないかをどう判断するかで、ボクは多分そうでないけどなにか刺さるヤバイものを見たかったのだろうな。アルツハイマー病にかかった画家さんの例で言えば鳥山明的にも医学的にも最終形態の右下のヤツですね。