カッツェにしてもいいですか

お酒を飲んでサブカルチャーに触れたり北方謙三に抱かれたりするブログです。

切り取る日常黎明篇 つか愚痴

東京は豪雨が降ったとさ。

職場の新人くんがなんとも常識のない方で、入って二週間各地で大評判であり、スレも立つ勢いなのですけど、だってギャル語発音でしゃべるんですよ?「マジでヤバーイ」とか。バイトの女子高校生なら分かりますよ?でも28歳野郎でツラといえばモンキーにパンチ2発くわせたしゃっぽヅラ。はなっから仕事や給料に文句タラタラいうからどんだけ優秀なんだって思ったら、香港映画の大アクションシーンで何回かスローモーション再生するけど、その何回かされるスローモーな方の映像を常時実施するスキルを持っているわけですよ。しかもその映像は歩くだけだったりちょっと書類を運ぶだけの日常を切り取るだけの斬新手法ですよ。

そんな彼が帰りしな「傘がない」などと井上陽水気取りでいうわけですよ。ならそこで子羊のように震えながら体育座りして救急車を待ちわびながら破水してろと思ったんですけど、幸か不幸か置き傘がありあまっていたので貸したわけですよ。
そしたらね、「マミヤさんの傘に入れてくれればいいっすよ、ふはは、ふはっ」とか語尾だけ水木しげるさんみたいにぬかすわけですよ。
ばかたれ、豪雨の中なんでそんなフラグたてなあかんねん、つかオレの傘は小さい軽量折り畳み傘だから共倒れだっちゅうねん。

で、その折り畳み傘とビニ傘二つあったんで、
「返す時に、晴れの日ビニ傘持ってんのもあれでしょ?折り畳みの方貸すわ」
って言うと、
「いやいいっす」
とかここだけ急にかたくななわけですよ。固辞するわけですよ。オレ、こないだりんごが落ちる様を見てふとテコの原理を発見したんだけど、そのテコですら動かないかたくなぶり。遠慮するという風でもなく、心底勘弁してくれってなもんですよ。

「あ、あぁ、そうなの?でも地元駅から原チャなんでしょ?まあさすがにこの雨じゃ乗らないと思うけど、折り畳みのが畳めていいんじゃないの?」
「いやいいっす」
の一点張り。なんだこの人は。弾丸をも跳ね返すという白蓮教徒か?それともサイエントロジーで啓発完了なのか?

でいざ外に出たら、さくらももこの筆致による縦線入ってんのよその猿。モンキーと言い換えてもいい。ばっさんばっさん雨に打たれながらなに言うかと思ったら、
「朝晴れてたから原チャリにのったというのにこんななるなんてっ…!あーついてない!今日は一日中運が悪いんだよなあ!(注:ちなみに仕事中などはさぼったり寝たり特に運が悪そうには見えなかった)天気予報見ても降るなんて思わなかったし!(注:天気予報ではにわか雨への警戒を強調してました)あぁそれにしても運が悪い!あぁこの服も(注:単なる長袖Tシャツ)洗わなきゃいけねえよう(注:いや、Tシャツは毎日洗う、だろ?ち、違うのか?)あぁ、明日はもうこれないかもしれない(注:意味わかんねえ。ていうか注疲れした)」
と、終始独り言を言っており、なんだよそのイタリア軍並の士気の低さは、と思いつつも相手するのが面倒なんでてきとうに相槌をうつも面倒になって無視してて。

いよいよですよ、この長年世界中のファンに愛されてきた物語の終焉を迎えるのは。
靴底までビショビショになりながらようやく駅前につきました。そして彼は言いました。
「地元で原チャリ乗るんで、この傘もういらないんだけど。返しますわ」

えーと、ちょっと待ってくれ。オレ、この人に限らず新人に対してでも丁寧語を使う人間なんだけど、さすがに堪忍袋の緒やシナプスやことが切れた。

おまえさあ、オレはまず、あんたが困ってるから貸してる立場なわけだ。それを、今NOW絶賛返すってことは、オレが満員の地下鉄で、なぜかビショ濡れの傘を二本差しにする荒武者になるってわけだ。で、傘を持たずに帰宅するパパを迎えに地元駅まで息咳きってかけつける女子高生でもないわけだ。だって双方使用済みの痛み分けですぜ?それをなんだ?もう用済みだから傘二本、お前が持って帰れと。あれか!折り畳みの方を小太刀にみたてて二天一流創始しろってか!そうってか!それでも五輪書書くまでの技術ことスキルが毛ぇ三本足りねえオレには分からないだろうからちょいとひとっぱしりスポーツブロガー養成講座金払ってでも学んでこいやと、そういってんのかお前!つかなんでブログやるのに金払ってまで教わらなあかんねん!お前こなみじんに原子レベルで破壊するぞコラ!と。

途中途中ノイズが入りながらもかなり怒り心頭に達していたのだけど、とりあえずその場では
「キミさあ、とりあえず常識で考えて判断できるだろ?なんでオレが二本傘持って帰んなきゃいけないんだよ」
というと、
「ふ〜ん」
と、なんかオレを珍妙なものでも見るかのようなニュアンスで、そいつ自身が斉天大聖未遂の珍妙フェイスでいうわけですよ。

もうあたし、どうにかなっちゃう!