カッツェにしてもいいですか

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つはものどもが ゆめのあと

最強伝説黒沢 11 (ビッグコミックス)

最強伝説黒沢 11 (ビッグコミックス)


アジフライを巡る日常だけで、ここまで壮大な歴史絵巻を描けるものなのかっ…!という衝撃を受けてより数年。遂に終焉を迎えたのだなあという感慨が深い。平井堅の目の彫りくらい深い。
ところで、先日も書いたとおり新装版 戦雲の夢 (講談社文庫)を読んでおり、ワタクシ残酷なほどに遅読なのでまだまだ戦いはこれからだ!ってな段階なのだけども、まあ元々読み知っている話。
で、この小説の描くところの盛親さんは相当黒沢さんに被るのです。被るのです、などというと盛親さんにぶっこぬきジャーマンで殺されそうですけど、司馬氏描く歴史小説の主人公にあるまじきモラトリアム大名であり、パンク侍と対極を成す様であり、且つその青年的モラトリアムが40代まで続き、最後に自分だけの、自分だけにしか分かりえない充足を得て死に至る、その悲しくもせつない100万人が泣いたこの冬一番ホットなハートフルストーリーぶりが、です。

こういうのは、良い。実に良い。なぜならば、自分が多分そうだからです。40代に最後の充足が得られるかどうかは分からんけど。

自分にはなにかできるはずなのにできていない、でもいつかはできるんじゃないか、なんて思いながら年齢だけがかさんでいってしまったあなた、そう、そこのあなた。苗字が黒沢さんなあなた。是非「戦雲の夢」も読んでいただきたいなどと、ウォルト・ディズニーの誕生日である今日に思うのであった。まあそんなことは今調べて知ったんだけど。