感傷のうずまきに沈んでゆく俺を 君の側で眠らせて OMOIDE IN MY HEAD
(なにげにヱヴァQのネタばれは含まれてるので気をつけてください)
オレの草が、燃えていない。
北方謙三の描く世界には、どうしようもなくダメな人物は微塵も出てこない。
北方謙三のようにダンディでハードボイルドな人物しか出てこない。
なにしろ全員が北方謙三なのだ。北方謙三が、自分の作品に北方謙三以下の人物を出す事を許していない。
本来悪役たる人物も大義があり、能力もあり、その理想に向かって邁進するからそこにいる事を許されている。
だから、ある人物がダメになっていく描写も、北方謙三が時に弱気になる時のそれそのものだ。酒で醜態を晒すさまも、北方謙三自身が経験しているそれだ。
北方謙三描くところの歴史文学を大好物にしている自分も、時に読むのがつらくなる時がある。
それは、明らかに自分が北方謙三に許されない人物だからだ。
アラフォーになる自分なんて想像もしなかった。ましてやこんなアラフォーになるなんて予想だにしなかった。
藤子マンガで育った自分の中でのアラフォーというのは、子供たる自分が無造作に土管が置かれた空き地で遊んでる間にも、みなすべからく中間管理を職としていた。
ネクタイきりりと締め若い部下を叱咤し、上司からはどやされ、家庭では娘に嫌われ嫁には悪態をつかれ。そんな疲れた自分を癒そうとたまの新橋での飲みではハメをはずしてしまい、ウィーヒック、こりゃあおみやげの一つも持ってかえらないと玄関通してもらえないぞなんて思い、寿司の折り詰めを片手でぶらつかせ、ふらつきながらドブにはまるんだ。
むしろ、職場の様なぞは大人向けSFで描かれこそすれ、子供向け作品ではウィーヒックの場面と休みにぐうたらしている様しか描かれない。
いざ自分がその大人になったらどうだ。休みにぐうたらしている様は野球は観てないにしろある程度再現できている。ウィーヒックの部分だけ忠実に再現できている。むしろ、本家を凌いでいる。それ以外は度外視だ。なにしろ再現する気がなかったし、再現する能力もなかった。
そんな人物が日々をどのようにやり過ごすか。思い出にすがるしかない。現行で楽しめる物事は少ない。本来生活力はなくとも旺盛な好奇心で趣味にすがって生きてきたのに、その好奇心すら薄らいでいる。その数少ない貴重な物事も、自分の思い出に重ねて楽しむしか術がない。
他人様に迷惑をかけるのもなんだから元発言を辿るのは控えようと思うが、世の中がエヴァQ公開で盛り上がったりむせ返る中、エバーなんて美少女戦士セーラームーンのOP曲『ムーンライト伝説』の歌詞で説明できるじゃん発言に、従来の日本アニメの手法で目から鱗が落ちる様を一枚一枚手描きで起こして動画に起こし、自分の妄が晴れたのであった。
DATTE改めて読んでみてください、この歌詞を。声に出して読んで歌いたい日本語。
http://www.jtw.zaq.ne.jp/animesong/hi/sailormoon/moonlight.html
ヱヴァQの、ミサト率いるヴィレのメンツのシンジ君に対する態度。アスカのシンジに対する態度。ゲンドウの態度とあのメガネ。カヲルとシンジの関係。ラストのバトル。誰一人として素直じゃないし、きっとそれに罪悪感を感じている。ごめんね、と。
冬月だって、一見素直に見えるけど、だって純情どうしようって思いながら将棋をさしてた。その微かな、駒を握る指先に純情な感情が滲み出てた。およそ1/3ほど。
エバーだってリアルタイムで観ていたから思い入れはある。その時間学校に通っていたので予約録画して、VHSの三倍というひどい画質で観ていた。その画質の映像を何度も繰り返し観た。繰り返し観るからどんどんノイズが増えていく。ノイズは勲章くらいに思っていた。第十三話なんて、なんかのバラエティ番組を上書きしてしまっていた。でも、自分にとって大事なのは第拾九話と最終回だったので問題ない。
そんなエバーより思い入れがあったのはセーラームーンだ。クラスにも溶け込めずにいた自分の入ったサークルで溶け込めたのはこの作品のおかげであり、なにしろハマった。ハマりすぎていた。毎週何かを楽しみにするなんて、ジャンプですら失っていた感覚を取り戻していた。
そのセーラームーンとエバーのミッシングリンク。つかこの歌詞今聴くとセーラームーンよりエバーの事歌ってるとしか思えない。
そして発覚するカヲル君≒幾原さん説。
http://web.stagram.com/p/327868043695605255_2502928
もうオレの中での思い出、90年代のドグマが渦巻きます。渦巻かざるを、得まい…冬月、後は頼む。
うさぎ好きだったので、あ、若者的に言うと推しっつうんすか、それがうさぎだったのでIQ300水野亜美やらビーナス的な美奈子やらが人気の中どうも周りから浮いていたけど競合しなくて済んだなあとか…
最初の劇場版、ザギンでの公開イベントに、ちょうどメガネからコンタクトにした早々だったのでなにっちゅうわけでもないのになんかイキってたなあとか…
そのイベントでの大山アンザ率いるミュージカル勢と声優陣の歌っぷりに度肝を抜かれ、本編にも度肝を抜かれ、今抜かれたのが尻子玉ってやつかと思い知らされたとか…
好きな子の前でなぜか息巻いてこれみよがしにセーラームーンの団扇あおいでたなあとか…
もちろんいやがられてたなあとか…
その恋心が高まるにつれてセーラームーンへの興味が薄れていき、そんな事があるはずがない、なんでオレはこんなになってしまったんだとアイデンティティクライシスを起こし悩み続けたとか…
恋破れて山河在り、傷付きながらもたちまちセーラームーンにすがりついたとか…
DATTEセーラームーンはみんなのママだから…
庵野アレだなあとかQどうなんだとか思うけど、こんな自分みたいなアラフォーに対する説教と思うと、何も反論出来ない自分がここにいるので、このまま思い出にすがって生き続けようと思います。
なんだ、みんなはどうなんだ。この年頃のみんなはどうなんだ。
稼いでるのか?そっか、投資信託までしてるのか。
子供はいるのか?そっか、二人もいるのか。
家は?そっか、ちゃんと親子二世代ローン組んでるのか。
酒はちゃんと飲んでるのか?そっか、ちゃんとしてるから飲んでないのか。
歯ぁ磨いてるのか?
宿題やったか?
また来週はあるのか?
また来世ー!